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【バカテスss】unter einem Schirm gehen -相合傘で行く-

2011年05月05日 02:49

おばんでーす。星崎です。
生放送に入り浸り「パーソナルカラーは赤と黄色です」とかわけのわからないこと言ったり某人紹介の漫画を読んだりしていたらもうこんな時間です。なんてこった。
明日は月たちと一緒にカラオケに行く予定なんですけどねー;;
ついでに、そろそろこの色からも卒業しなければならないのですが。なんてね。



さてさて、バカテス美波ss、大変お待たせしていました!
いやあ、本当にお待たせしてましたw
なんとか書き上げました。まあプロット自体はできあがっていたので、今日一日部屋にこもってカタカタやってましたー

さて、今回はリクエストをいただいていました。『付き合い始めてからの学校での美波と明久』ということで、前回の続編のような位置づけで書かせていただきました。
まあ、前回のを読んでいない方も、まあ大した話ではございませんのでw
ちょくちょく前回の話が入ってきますけれども、普通に読んでいただけるとは思います。

さてさて、前回のお話、ウチのブログでは一番人気になってしまっているのですが……それの続編と言ってしまうとなんかちょっとハードルあがりそうで怖いですねw
でもまあ、いくらか昔に書いたやつなので、文章力的には高くなっている、と、思い……たい(ぁ
一応いろんな話を考えてはいたんですがねー……受験で全部忘れましたorz



あ、そういえば。
声優さんのネットラジオか何かですっごくおすすめがあれば教えてください!!
あのね、ほら。せっかく受験を終えたんだからかわいらしい声で「おめでとう」とか「お疲れ様」とか言われたいじゃん!!
もう5月なんだから急がないと!!!
だから是非教えてくださいませ!!!!!



えーっと。うん。
ssの話に戻りましょうかw
今回のssは学校での、ということになっていましたが……どうだろうこれはちょっと逃げてしまった気がするねw
なんというかねー、どうも明久と美波まわりの人間関係ひも解いていくのはそれはもうそれで一つのシリーズいけちゃいそうなので(書けるかどうかはわかりませんけど!)そこがどうしても後回しになっちゃいまして;;
んー、かと言ってそこまでの大作(になるかはわかりませんけど!)を書き上げるまで学校話がなしというのもアレな話ですし、ついでに言えば、実は学校話で一つ考えてはいるんですよねー。
それは順番が非常に微妙で……いつ入れるかが迷っちゃうんですよ。まあネタだけ考えてプロット立ててないせいなんですけどね!


さてさて、タイトルですが、ドイツ語で『相合傘で行く』という意味です。
大学の第二言語でドイツ語を取ることにして、ドイツ語辞典を買ったのでタイトルを考えるのが楽になって非常にうれしいですw
ネットの翻訳とかだと、めちゃくちゃな訳されたりしますからねw
辞書の例文そのままだったらOKなはず!
本当の僕のドイツ語力では自己紹介と数字を少ししか言えませんから!
文法もちょっとしか習ってない!
英語と違って動詞の活用が『一人称』『二人称』『三人称』だけじゃなくて、彼とか彼女とか彼らとか私たちでもそれぞれ動詞が変化したりするんですよ。
で、チラっと調べてみると冠詞ももしや変化する(確実でない情報なのでご注意を!)のかな? という感じだったので一つ一つ調べてたら疲れてしまうw
その点辞書の例文だったら当然人称代名詞にちゃんと合わせてるよね……? という判断なのです!
ドイツ語に明るい人で「おいこれ違うZE☆」ってのがあったらご指摘よろしくお願いしますー!
ちなみに『相合傘』という単語は出てきませんでした。ドイツにはない概念なんでしょうかね。そういうのがわかるのはおもしろいなと思いました。
どうなんでしょうねー。ドイツの文化に詳しい方はいらっしゃいますかー?
まあおそらく、二人で傘の下を行く、ってそんな意味になってるんですかねー。一つ一つざっと単語を調べてみた結果そんな感じでした。
しかしこれ人称本当にあっているだろうな……? 男と女の二人だぞ、大丈夫か……?
ドイツ語にそこまで区切りがあるかどうかは知りませんけどもねw



まあ、こんなにだらだら長くしゃべっても仕方ないですねw
ここまでの文章で大事だったのは


①「僕の受験の疲れを癒す素敵ボイスのラジオを紹介してください!」
②「ドイツの言葉、文化に明るい人は是非教えてくれると、勉強にもなり楽しいので是非ご教授ください!」




たったこの二つですね(キリッ


というわけでいつも通り小説は続きを読むからお願いします。
ご意見ご感想などなど、拍手やコメントからお気軽にくださいませ!
拍手コメでもコメントでもどちらでもオッケーですよー
お言葉いただけると非常に嬉しいです!
ああ、返信の方はまた後日行いますねっ
それでは今回はこの辺で
長文駄文失礼しましたっ
ではではー








 さて、皆が思い描く彼女のいる高校生活というものはどうものだろう。
 例えば昼休みには二人っきりで彼女が作ってきた弁当を食べたり、席替えの度に彼女と隣同士になれるかにドキドキ一喜一憂し(まあ僕のクラスには席替えも何もないのだけれど)、そうそう、朝に一緒に登下校というのも忘れてはいけない。帰り道はどうだろう。どこか喫茶店に入ったりして飽きもせず何時間も語り合ったり……。
 さて、そこで今の僕の昼休みを見てみよう。皆と変わらず昼食の時間である。
 僕はとっても美味しそうな弁当を前に手を振り上げた。



「「「「じゃーんけん、ポン!!!!」」」」

「またかあああああああああああ!!」
 まさかの一発負け。6人で勝負して一人負けする確率ってどのくらいなんだろうか。
 さて、僕の今の昼休みを見てみよう。いつもと変わらない昼食の時間である。
「うっしゃ! 俺はコーラだ」
「わしはウーロン茶じゃ。ごちそうさまじゃ」
「……ジンジャエール」
「私はミネラルウォーターでお願いしますね」
「ウチはレモンスカッシュがいいわね」
「あーあ、行ってきますよー。僕の分も残しておいてね」
 よっこいしょと腰を上げながら言うも、それをあざわらうかのように雄二は目の前の弁当からおかずを一つひょいと取った。
「それは保証できねえな」
「くそが! 外道! 地獄に落ちろ!」
「何とでも言え。さっさと買いに行かないとホントになくなっちまうぞ」
「うう……じゃあ行ってきますよーだ」
 そうして美波の手作り弁当に泣く泣く背を向け僕は購買へと向かった。
 ちなみに美波の手作り弁当にはたくさんのおかずが入っており、とても二人で食べきれる量ではなかったことだけを付け加えておこうと思う。




    unter einem Schirm gehen -相合傘で行く-




 さて、なんとか美波の弁当を箸でつかむことに成功した僕は至福のひと時を過ごし、午後の授業をぼんやりと眺めていた。
 何も変わらない、いつもと同じ授業だ。
 隣には別に誰もいない。ちゃぶ台を男女二人で使うとか、すぐ隣に美波がいるとか、髪の毛がくすぐったいとか、そんなことは何にもない普通のいつもの何も変わらない授業。
 その美波は教室の片隅で姫路さんと一緒に真剣に授業を聞いている。
 真剣な横顔。しっかりと黒板を眺めるその姿には、僕のような昼飯後の眠気を持て余した様子を感じさせることもない。
 そんな姿を見て、僕は頭をコンコンと叩き目の前の黒板を見つめた。
 くねくねした曲線と数本の直線が何本も黒板の上で踊っていた。



 さて、どうだろう。
 何で僕がここまで何も変わらない日々を過ごしているかということについて説明はいるだろうか。
 ……うん、まあそうだよね。今までむさ苦しい男臭あふれる日々から脱却することを目指し、抜け駆けをする連中を地獄に落とす日々を送っていた僕が、いざ彼女ができたというのに今までと同じ生活をしているというのはちょっと不可解かもしれないと、まあ自分でも思う。
 なんでかと言うと、理由は単純明快。少し考えれば僕のような少し、ほんの少しだけ頭が弱い人でもわかってしまうだろう。
 そう、僕はまだ、僕らはまだ、僕と美波が付き合っているということを皆に話していないのだ。
 そもそも、と黒板の端を見る。そこには日付と曜日が今日の日直によって書かれており、今日は月曜日だ。前回語ったかどうかはわからないけれど、僕が美波に告白され、そして僕が返事し、そして、まあこれ以上は語らないとして。
 そんなことがあったあの夕暮れのあの日は金曜日だった。
 そこから土曜日日曜日をはさみ、今日があの日から数えて初めての学校なのだ。
 結局僕らはとりあえずどのように伝えようか考えをまとめてからにしようと、いつも通りの生活を続けようと考えたわけだ。
 それに。
 それはきっと、僕にとっても美波にとっても些細な理由なのだ。
 いや、違うのかな。一は全、だなんて僕の大好きな漫画の話をするわけではないけれど、それは理由の一つであり、それが理由そのものであり、でもそれは些細な問題なのだ。
 うん、僕はあまり頭が強くないから難しいことは考えられない。自分でも何を言ってるのかさっぱりだ。
 まあ、どういうことかというと。
 僕は今の楽しい生活が気に入っているんだ。
 ブサイクと美少女とエロの化身。そんな三人と過ごす日々だって、僕は失いたくはないわけで、彼女ができたからと言って、あいつらとつるむのをやめるというのはやっぱり嫌だったんだ。
 そして美波も僕と同じ気持ちでいてくれた。
 だからこその今なんだ。
 僕は甘えているのだろうか?





 午後の授業が終わり、んー、と背伸びをする。背骨がボキボキと鳴る音がする。やっぱり何時間もちゃぶ台と畳にあぐらだと体が固まって仕方がないね。
 なんとなくいつもと違う雰囲気に首を傾げ、なんとなく窓から外を眺めて僕は頷いた。
 なるほど。
 外では小雨が降っていた。道理で何か静かというかなんというか、雨の日特有のいつもと違う空気が流れていたわけだ。
 しかしどうしよう。窓の外を眺めながら考える。
 今日は傘を持ってきていない。朝はあんなに晴れていたから絶対雨なんて降らないと思っていたから普通の傘はもちろん、折り畳み傘も家に置いてきてしまった。
 一応小雨だから、走って帰っても大丈夫ではあるだろうけど……。
 うーん、どうしよう。
 周りを眺めているといろいろな人がいた。傘を持っている者、傘を持っていないもの、入れてあげる人、入れてもらう人、入れてあげない人、入れてもらえない人、走って帰る人、迎えが来る人。さまざまだ。
 とりあえずと友人のところへ向かってみる。
「ねえ、雄二。雨が降っているね」
「ん? ああ、そうだな。見ればわかるだろう」
 悪友でありブサイクである野獣そのものの僕の友人の坂本雄二はつまらなさそうな顔で外を見た。
 なんだろう、こいつも傘を忘れたのだろうか。それにしては慌てた様子も、どうかしようとする様子も、というか何かを考えている様子すらないのだけど。
「どうしたのさ雄二。なんかぼーっとして」
「いや、別に。ただ傘がないだけさ」
「? それは理由にはなってないような――」
 と、そこまで言って僕の頭に閃くものがある。
 脳裏に浮かぶのは才色兼備で長い黒髪を持つ美人という言葉がぴったりな清廉な少女。
「貴様もしかして霧島さんと相合傘で……!」
 そんな特別なイベントをこんなにもやる気のない顔で迎えるだなんてどういう神経をしているというのかこの男、これは到底許すことはできないだろう。
 しかしそんな言葉を聞いても、無反応で肘を立て、手に顎を乗せ、ぼんやりと外を見ている雄二。何かおかしい。いつもならばもう少しくらいはノリがいいはずなのに。
「……雄二どうしたの?」
「俺は朝は傘を持っていたんだ」
 こちらを向かずに、ちゃんと返事もせずに、突然ポツリと言った。何か怖い。
「その傘はどうしたのさ」
「盗られた」
「え、盗られたの!?」
 それは穏やかではない。いくら普段ふざけている僕らとは言っても人のものを盗むというのはあまり好きではない。
「翔子に、朝」
「…………」
 それなら納得だ。
「え、でもやっぱりそれじゃあ普通に相合傘じゃないか。何をいまさらそれくらいのことで」
「やり方が問題なんだよ」
 そう言って力なくため息をつく雄二。なんだどうしたんだ。いつもこれくらいのこと――いや、それ以上なことだってよくあるはずなのに。
 そうして、ふと。本当にふとなんとなく、何故か雄二の足に目がいった。
 そういえば授業が終わったというのに、ちゃぶ台から離れるどころか、立ち上がろうとすらしない。
 あぐらをかいたままのその足をたどってみると。
 ちゃぶ台の足に、左足首が、手錠でがっちりと固定されていた。
「…………」
「…………」
 うん、まあ驚いた。いつものこととはいえ、やっぱり目の当りにするとあまり慣れない。
「えーっと、雄二……いつから?」
「昼休みの途中、飯が終わってここに座った瞬間からだな」
「…………」
 すると単純計算でだいたい2時間半くらいずっとここで座っているということか。
「……トイレだけは気をつけなよ」
 とりあえず動けない友人に向かって精一杯の助言を投げかけた。昼休みに飲み食いしてるというのにそれから2時間半トイレに立っていないだなんて。しかも鍵を持っている霧島さんはいつ現れるかわからないだなんて。
 これは新手の拷問に使えるんじゃないだろうか。
「俺もそれが目的なんじゃないかと思って、それが頭によぎった瞬間からもう俺は考えるのをやめた」
 そうして僕に幽鬼のようなゆらりと生気のない視線を投げかけて力なく不気味に笑うと、また外の景色を見る作業に戻ってしまった。
 そうか……心躍るかと思った相合傘というイベントも、手法を間違えるとこんなことになってしまうらしい。肝に銘じなくては。

 教室を見回してみると、姫路さんが携帯電話片手に教室を出ていくところだった。僕が見ていることに気付くと、すまなそうにぺこりと頭を下げて慌ただしく廊下へと出て行った。どうやら、車での迎えがあるようだ。まあ、女の子が雨の中傘もなく一人で帰るというのはよくない。とくに姫路さんのようにかわいい子であれば、うん、まあいろいろとダメなことになるだろう。

 さて、今日も姉さんは仕事に出ているので僕のところに迎えはないだろうと思っていると、秀吉とムッツリーニがやってきた。
「明久。どうしたのじゃぼんやりと突っ立って」
「ああ、ちょっと意気消沈してる男の観察を」
 秀吉はちらりと雄二を見て、足首にがっちりとはめられた本格的な手錠を目にして頷いた。
「なるほどの」
「……さすがに同情する」
 劣情の塊であるムッツリーニであってさえも、霧島さんとの相合傘という展開が容易に見えているという状況でさえも、同情を禁じ得ないこの状況。世の中というのはままならないものだね。
「お主は傘を持ってきておるのか?」
 秀吉が首を傾げながら聞いてくる。なんて可愛いんだろう。
「ううん、持ってないからどうしようかなーって」
「む、そうなのか……ムッツリーニも持ってないらしいからのう。どうしたもんか」
 鞄の中から小さな折り畳み傘を出しながら秀吉が言った。
 ああなるほど。秀吉は傘を持ってきていて、誰かひとりくらいなら入れられるということのようだ。
 まあそういうことなら。
「それならムッツリーニと一緒に帰るといいよ。万が一カメラとかが濡れたら僕も困るし」
「むう、明久はそれでいいのか?」
「うん、これだけの小雨なら待ってれば止むと思うし。校内をぶらぶらしとくよ」
「うーん、わしらも止むまで待っておろうか?」
「ううん、そんなに気にすることないよ。いつ止むかもわからないし、先に帰っておいてよ」
 秀吉は少し申し訳なさそうにしたが、そうか、と頷いた。
「ではお言葉に甘えることにするのじゃ」
「……恩に着る」
 そう言って二人も教室から出て行った。
「………………さて」
 手錠につながれて動けない雄二に背を向けて、僕も教室を後にした。





 空き教室。
 ABCDEFなどのクラス専用のものではない、特に目的のない空き教室。物置と言うにも正しくない。言うなれば、部活などの会議で使うような、机といす、黒板だけがぽつんと設置された、普段は使わない狭い部屋。
 その狭い部屋の外に面した窓を開け、雨のざーざーという音をなんともなしに聞きながら、机の上に行儀悪く座って、ぼんやりと考え事をした。
 ざーざーざー。
 雨の音が落ち着くというと、わかる人とわからない人がいるようだ。
 僕なんかはいつも内外構わず走り回っているという印象があるらしく――まあ実際そうなのだけれど――雨の日を嫌いと思っているというイメージを持たれているらしい。
 しかし僕は雨の日は嫌いではない。むしろ好きと言っても過言ではないかもしれない。
 このざーざーという音を聞いているとどうにも落ち着く。普段考え事なんてほとんどしない僕だけれど、この音を聞いていると、いろいろなことが頭に浮かんでくる。

 やっぱり、頭に浮かぶのは美波のことだった。
 それはあの日のあの時も。
 いや、それだけでなく、あの日からずっと、ずっと考え続けていたこと。
 僕は、美波の何になれるんだろう。
 僕のどこがよかったのだろうと。
 そんなキザというか使い古されたある種かっこ悪いセリフが思い浮かんでしまうのは残念なことだけれども、やっぱり僕にはわからないのだ。
 美波は、僕のどこがよかったのだろうかと。


 そんなことをどれだけ考えていただろうか。
「アキ?」
 後ろから声がした。
 凛と、しかし可愛らしい女の子の声。
 僕の彼女の声。
 振り返ると、空き教室の入り口に、そこに美波が立っていた。



「アキ、こんなところでどうしたの?」
 美波が僕の腰掛けている机の隣の机に、僕と同じように腰掛けた。
「ん、ちょっと雨宿り。すぐ止みそうな雨だしね」
「ああ、そうね。小降りだし」
 雨はざーざーと音を鳴らしているが、天気予報でも雨だなんて単語は出てきていなかった。ただの通り雨だろうと思う。
「アキも傘持ってないの?」
 美波が首を傾げて聞いてきた。可愛い。愛らしい。
「うん、持ってない。突然だったからね」
「やっぱり。私もなの」
 ざーざーと雨は降る。
 なんとなく、僕も美波も無言で外で雨が落ちる様子を眺めていた。
「ねえ、アキ」
「ん、なに?」
「今日も、別に何も変わったことは起こらなかったね」
「そうだね」
 美波が苦笑しながら言った。まあ、そうだとは思っていたけど、実際思い返してみるとどうなのだろうという気がしないでもない。
「でも、それはそれでって感じがしたわ」
 美波がくすくすと笑った。
 そう思ってくれるのなら、僕もよかった。
「でも、近いうちに言わないといけないわね」
 美波が窓の外の、雨の向こうの、どこか遠くを見るような目で呟いた。
 僕には、美波がどこを見て、何を見ようとして、何を思い描いて言っているのかはよくわからなかったけど。
「うん、そうだね」
 そう返すことが正しいということは、ちゃんとわかった。



「そういえば、案外バレないもんなのね」
 美波が悪戯っぽく笑いながら胸元に手を突っ込んだ。
 別に何かいかがわしいことをしようというわけではない。一瞬期待してしまった僕は心が汚れていると心底思うけれども。
 美波が引っ張り出したのは紐に通された指輪。
 そう、あの夕方のあの日、僕が美波に買った、僕とおそろいのペアリング。
 それを今、指ではなく紐に通し首から下げている。
「でもやっぱり授業中とかに西村先生が隣を歩いたりすると緊張しちゃうわね」
 そう言ってあははと笑った。
 そう、なんだかんだ最近いろいろあって、というか生徒の某先輩のような生徒の素行によって――まあ僕らが悪いという人もいるけれど、まあ、うん、どうなのだろうね――文月学園が進学校であることが忘れ去られている節があるような気がするのだけれども、一応文月学園は進学校である。
 そして進学校といえば校則が厳しいのがまあ普通なんじゃないかと思う。例外はあるだろうけどね。
 文月学園はまあまあ緩いところもあるのだけれど、持ち物検査にしてはとにかく厳しい。勉強に関係のない指輪なんて持ってきた日には没収されることは目に見えている。
 それでも、僕らはこの指輪を家に置いてくる、なんてことはできるだけしたくなかった。そう、僕も美波も。僕のお小遣いで買えてしまうような安物だったけれども、やっぱり手放せないような代物になってしまった。
 で、どうしようかと美波の家で話し合った結果、こういう結論になった。
 僕も、昔買ったアクセサリーの鎖を使って指輪を首からぶらさげている。もちろん、誰にも見つからないように鎖は服で隠しているけれど。
 でも確かに、僕の胸元にはその重さがある。
 僕も、美波と同じように指輪を引っ張り出した。
 そして二人で笑いあう。
「前も言ったけど、ありがとうねアキ」
「ううん。僕こそ、前も言ったけど、安物でごめんね」
「いいの。すごく嬉しかったから」
 そう言い合って、そしてなんだか照れくさくなって、二人で顔を赤くして、外を眺める作業に戻った。
 机と机の間の距離を残して、僕らは空を眺めていた。
 もうちょっと寄った方がいいのかな。
 どうしようかと隣をちらちらと見て、同じようにちらちらとこちらを見ていたらしい美波と目が合う。そして何故か慌てて目を逸らす。いつもなら、目が合うこと自体普通のはずなのに。何故か。
 どうなのだろう。いいのかな。寄るべきなのかな。
 そう思いつつも、なんとなくこのままでもいい気がした。
 美波も、恥ずかしがって顔をそらしているその顔が、少しだけ笑っているように見えたから。



 そうやってぼんやりと雨を眺めていると。
 ふと、美波が来る前に考えていたことを思い出した。
 そういえば。
 というか、美波が来たから忘れていたとも言えるのだろうけれど。
 美波は、僕のどこを気に入ったのだろうと。
「…………」
 美波の横顔を盗み見る。
 聞いてもいいのだろうか。
 漫画などでは、こういうことを聞く男と言うのはだいたいあんまりよくない男として描かれる気がする。キザだったり、嫌味だったり。
 でも、どうしてもわからないことは聞かなくてはいけないことだと思う。
 だって、わからないから。
 僕のどこが、美波に釣り合うというのだろうということが。
 美波のふわふわ揺れるポニーテールも、勝気な大きくて釣り目の瞳も、すらりと長い脚も、明るい性格も、優しい顔も心も面倒見がいい一面も。
 僕にはどうしても釣り合わないような気がするから。
「……どうしたの、アキ?」
「えっ」
 そう言って美波がこちらを覗き込むようにして僕を見ていた。
 気づいたら盗み見どころか、僕はじっくりと美波を観察してしまっていたようだった。
 どうしよう、特に意味なんてないんだけど、なんて言ったら変態だと思われるだろうか。どうしよう。こういうときなんて言えば正解なんだろうか。
「アキが考え事なんて、何か悩みでもあるの?」
 美波が心配そうに僕を見た。
 それを見ていると、何を考える前に言葉が出てしまって。
「いや、えっと、美波は僕のどこがよかったのかな、って思って」
 別の言葉を考える暇もなく、つい考えていたことが口に出てしまった。
 目の前で美波はぽかんとしている。
 どうしよう、やっぱりこんなこと聞いたら気持ち悪かっただろうか。どうしよう。付き合い始めてから初日の学校だというのに、まさかこんなことで躓いてしまうとは。
「ああ、いや、えっとね」
 どうやって弁解しようものかと考えていると、美波が座ったまま僕の机に手をついて顔を近づけてきた。
「そんなこと悩んでたの?」
「え、えっと……うん」
 美波がこっちを真っ直ぐに見てくる。近くで見ると、大きな瞳に吸い込まれそうになる、というのはやっぱりキザなセリフなんだろうか。どうもそういう言葉しか浮かばない頭を取り換えたくなる。今までで一番頭を取り換えたいと思った。
「ウチだって同じようなことは思ってる。ウチは乱暴だし、頭悪いし、胸も小さいし、アキほど料理もうまくないし。アキはなんだかんだ言って優しいし、ウチだってアキに何回も助けられてるの」
「でも僕こそ頭悪いし、雄二じゃないけどかっこよくもないし……」
「でも」
 美波は顔を近づけたまま、僕の『でも』に『でも』を重ねた。
「アキが、ウチが、どんなことを思ってても」
 遠くで見てもわかることだけれど。別に近くだから、というわけじゃないのだけれど。
「アキはウチの彼氏で、ウチはアキの彼女なんだから」
 やっぱり美波は可愛いと思った。




 外の雨は気づけば土砂降りになっていた。
「……止むどころか傘なしじゃ外に出れないくらいになっちゃったね」
「そうね、どうしようかしら……」
 二人して途方に暮れる。もう少し待てば変わるかと思わないでもないけれど、時計の針はもういい時間を指している。というかほんの少しだけど下校時間を過ぎている。まあ部活で遅れる生徒もいるから、急いで出る分には問題はないのだけれど、もうこの部屋で粘るわけにもいかないだろう。
 というか、今土砂降りになってしまったように、今から少し待ったからといって雨が弱くなるという保証はないのだけれど。
「うーん……どうしよう。職員室で傘でも借りてこようか?」
「下校時間過ぎてるからちょっと怒られそうだけど……それしかないわよね」
 怒られ慣れている僕はともかく、美波は僕のように耐性がついているわけではない。やっぱり抵抗はあるようだ。
 まあ、僕が借りて来ればいいだけの話だ。
 そう思って僕が空き教室から出ると。
「ん?」
 ぽつんと傘が置かれていた。男物の大きな黒い傘。
「どうしたの?」
 教室の出口すぐで立ち止まっている僕に不思議そうに声をかけ、僕の肩越しに美波も廊下を見た。
「傘?」
「そうみたいだね。……誰のだろう」
 そう思って傘を手に取ると、かさりと音がした。
 音のした方を見ると、傘と壁の間に挟まっていたのか、紙が落ちている。
 それを拾いあげて読んでみてようやく気付いた。
「アキ、これ……」
「そうだね、まあとりあえず――」
 僕は振り返って空き教室に戻った。
「鍵を閉めようか」


『吉井。今日だけお前に傘を貸してやる。責任を持って返せ。戸締りを確認して帰ること。 西村』

 よく考えてみれば当然の話だけど、その日の当番の先生が学校中の戸締りを確認するのはどこの学校でもあることで、ここ文月学園でもそれは当然のようにある。
 そして今日は鉄人の担当の日で、おそらくこれは鉄人の傘で、僕と美波が中にいることをわかってこの一本の傘と置手紙を残したということで。

「しょうがない。今回は素直に返してやろう」
 僕は傘を手に取った。
「普段からちゃんと普通に返しなさいよ」
 美波が僕を軽く睨んだ。むう、これからはきちんとしていなければならないのだろうか。
 まあそれはともかく。
「帰ろうか、美波」




 土砂降りの中を、一つの傘で、二人で歩く。
 鉄人が残してくれた傘はとても大きく二人で入っても全然平気だった。むう、鉄人め余計なことを。
 僕らは美波の家の方へ歩いた。とりあえず美波を送り、帰ることにした。
 大きな傘であっても肘がぶつかってしまうこともあった。そんなことがあるたびに、僕らは顔を赤くした。うーん、美波はともかく、僕は参考書などでこれしきのことでは動じないように訓練してきたはずだったのに、僕も案外初心だったということなのだろうか。むむむ。
 傘に雨粒が当たる音が傘の下に響く。傘がなかったらどうなっていたのかと考えたくもないくらいの土砂降りだ。
 隣の美波をちらりと見る。僕と同じように顔を赤くして、なんとなく俯き気味で歩いている。
 むう、相合傘というのはここまで照れくさいものだったとは。
「ねえ、美波」
「なに、アキ?」
「ありがとう」
 突然言われた美波は意味がわからないようで一瞬ぽかんとした。
 それでも美波は満面の笑みで。
「ウチこそありがとう」
 そう返してくれた。
 なんでお礼を言ったかの意味だなんて、美波がどう思っているのか、そんなことはどうでもいい。
 僕はとにかく、言いたかっただけなのだから。
 たぶん、美波もそう思ってくれている。



 美波の家に着いた。
「送ってくれてありがとうね、アキ」
「ううん、別に気にしないで」
 当たりさわりのない別れの挨拶。
 それでも美波は傘からなかなか出ようとしなかった。
 美波は右を見て左を見て、そして家の方を見た。
 そして傘の中で一歩前に出て、僕の方に向き直ると。
「じゃあね、また明日。アキ」
 そう言って小走りで家の中に入っていった。
 僕の頬に、雨ではありえない甘い湿りと熱さを残して。




 僕もずっと美波の家の前で立ち尽くしているわけにはいかない。僕も家への帰り道を歩み始める。
 二人でも十分な、一人分では大きすぎる傘を持て余して、くるくると回しながら僕は思う。
 折り畳み傘を僕が持っていれば、もっと小さな傘で相合傘が出来たのかな、なんて。
 そうしたらもうちょっとだけ、ふれあいが多かったりしたのかな、なんて。
 でも。
 でも、と僕は思う。
 そんな不純なことを考えていても、きっと僕らはうまくいかないんだろう。
 だからきっと、今日みたいな微妙な距離感がちょうどいいんだ。
 触れ合いそうで触れ合わない、しかしちょっと腕が当たって顔を赤くしてしまうような。
 きっと、それくらいがちょうどよくて。それくらいだからうまくいくのだろうと思う。
 僕が小さな折り畳み傘を持ってきたら、美波も同じようなことを考えて持ってきていたり……なんて思うのは僕の思い上がりなんだろうか。美波はそんなことは考えないかな。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
 でも、どっちにしたって、僕らが仕組んだ通りには進まないんだろう。
 良くも悪くも僕らは頭が悪くて、こういうことに慣れていないのだから。
 それでも。
 僕らはそれでいいんだ。
 小さな傘同士隣を歩くのも悪くはない。
 僕はどうせ、雨の日にも傘を忘れて家を出たりもするだろう。
 そんなときは今日のような、大きな傘で、互いに顔を逸らしながら歩くんだろう。
 微妙でも、暖かくて幸せな距離感で。
 雨は変わらず降り続き、傘の下には心地よいリズムの音が響いていた。
 そんな、なんでもない雨の日のこと。





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コメント

  1. ひろ | URL | Nt5JsYtc

    やばい幸せすぎてやばいなんという神ss…さらに続編希望です!

  2. ゆーき | URL | 3v9IlUEY

    Re: 【バカテスss】unter einem Schirm gehen -相合傘で行く-

    美波可愛いすぎる!どうか明久と幸せに

  3. | |

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