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美少女(♂)秀吉のある日の苦悩 第9話

2010年04月28日 23:26

どうも。挨拶が定まりません、星崎です。

で、最終回予告していた「美少女秀吉」でしたが。













最終回になりませんでした♪







いやあ、最終回の予定だったのですが、あまりにも長くなりすぎてしまったので二つに分割することにしました;;


予告通り一週間以内にうpしたから許してくれると嬉しい……なぁ………?


というかね、ホント伏線回収しきれない……というかもう第1話とか公開停止にしたいんd――――――




で、ここからは本文に関係ないのですが。


相互リンク貼っていただいた人がいらっしゃるのでここで紹介したいと思いますっ


スパイス検索(陸山さん)

ENJOY MIX(伽藍快さん)


そのほかにも、リンク承諾してくださったねこぐん。(RikaONさん)

真っ先にコメントくださったapricot perfume ~ひないち~(日向いちさん)(嬉しかったよ!)

寛容な心で、また見にに来てくださると言ってくださった~eterna~(りいちゅさん)(ありがとうございます!また今度東方もうp予定です!)



これからも、皆様よろしくお願いしますm(_ _)m



それでは、いつも通り小説は続きから。
ご意見ご感想募集中。コメント拍手からお気軽にどうぞ!
楽しんでいただければ幸いです^^
ではでは~









「ふ~、遊んだのぅ」

 秀吉はパーク内のマップを見ながら大きく息を吐いた。こことここと、あとこっちとこれ。指で一つずつ順番に指していくと今日一日の軌跡が浮かび上がってくるように見える。

「そうね~。やっぱり遊園地っていうのはいくつになっても楽しいものね」

 嬉しそうにそう言うのは美波。お化け屋敷は苦手でも絶叫系は割りと好きな部類だったようで十分楽しめたようだった。

「私はちょっと怖いのが多かったですけど……でも楽しかったです!」

「うんうん、こういうところって思いっきりはしゃげるからストレス解消にもなるしね~。ねえ代表」

「……うん。私も楽しかった」

 わいわいと話が弾む女性陣。うむうむ、仲良きことは美しきかな、じゃの。

「……………」

 うむ、まあ、なんというか。

「……ねえ、雄二。遊園地って何でこんなに傷が増えるんだろうね?」

「知らん。俺に聞くな。俺が聞きたいくらいなんだ」

「………ほとんど戦場」

「戦場って当たってる気がする……あの船とかはきっと本当に海賊船なんだね」

 バイキングはただの絶叫マシーンなのじゃが。

「なるほど……戦場の空気に影響を受けたということか」

 雄二よ、お主は明久の影響を多分に受けているようじゃぞ。

 華やかに明るい雰囲気の女性陣とは対照的に、暗く重い雰囲気の男性陣。……およそ遊園地には似使わない雰囲気であるとだけ言っておこうと思うのじゃが。





   ☆☆☆





 お化け屋敷の中でも、三者三様な物語があったようじゃった。まあ特に言うこともあるまい。普通の日常と同じじゃ。………言っていてかなりおかしい気はするのじゃが仕方なかろう。そうじゃな………痛切なラブストーリと言ったところじゃ。あながち間違ってないから困るのう……。

 まあ、それはともかくもう日も落ちかけているようじゃ。夜までいてもよいが、今日の予定ではそこまでいるわけではないからの。

 で、最後といえばやっぱり………

「これ、ね」

 島田が見上げる先、そこには近くだと頑張って見上げても頂点が見えなさそうなくらい高い観覧車が聳え立っておる。

 たしかこの観覧車もこの遊園地の目玉の一つであったからの。ジェットコースターとは違う迫力、かつお化け屋敷とは対極ないい雰囲気を醸し出しておる。

「高いですね………ちょっと怖いかもです」

「大丈夫よ、観覧車なんて中でおしゃべりしてたらあっという間よ」

「そうそう、昔はボクもちょっと悪戯しちゃうこともあったけど、流石にこの歳で観覧車揺らしたりはしないからね~」

「う~……じゃあ今日一日いろいろ乗ってきたし最後まで頑張りますっ」

「……それでこそ瑞希」

 ふむふむ、なにやらこの話の流れだと男子4人組、女子4人組で乗ることになりそうじゃの。しかし明久たちはどうじゃろうか。せっかくの遊園地のせっかくの観覧車で男4人で乗るのは嫌じゃと言い出すのではなかろうか――――――

『………なっ……ぐっ……!』

『どうしたのムッツリーニ?今日も散々鼻血流したんだから今更我慢なんてしなくても』

『………黙れ明久!ヤツに勘付かれる………!』

『?ヤツって工藤さん?別に今更ムッツリーニの性癖がばれたところで何ともないんじゃ………』

『………アレを見ろ………!』

『?』

「?」

 女性陣とは対照的に男性陣はこそこそと喋っておるのう。話の内容がなかなか見えてこないのじゃが………。ムッツリーニが指で示す先を探す明久につられてワシもその先を追ってみると――――――

『ぐはっ!』

『………気づかれてはいけない………』

『うん、わかったよムッツリーニ』

「………………」

 ムッツリーニが見ていたもの、そして明久が見つけたもの、それは――――――




 透明なゴンドラじゃ。




 あ~、そういえば昔どこかの遊園地が全体の観覧車の中の一つにだけ透明なものを混ぜたとかで有名になったことがあったのう。それからはまれにじゃが見かけることもあったような気がしたのじゃが………よもやここにあるとは思わなかったのじゃ。

 なんという現実逃避。

 いや、別にワシとて異性に興味がないというわけではない。不本意ながら語弊を招かぬように正確に言うと、女性に興味がないというわけではない。女性じゃぞ女性。ここ重要じゃ。

 しかしじゃ。流石にこんなあからさまに覗きのようなことをしていいのかと、と思うのじゃが…………。



『………万が一目に入ってしまった場合は致し方ない』

『そうだね。事故なら仕方がないからね』

 見る気満々ではないか。

『………この情報は秘密裏に取り扱う必要がある』

『うん、これは僕らだけの秘密だ』

 目の前にある観覧車は隠しようのないほどの情報を周囲に撒き散らしておるのじゃが。観察眼が鋭ければ普通に気づくレベルじゃぞ。

『おい、話は聞いていたぞ。どの客が当たるんだ』

『………あと3組後に並んだ客』

 お主の観察眼は鋭すぎるのが問題なのじゃ、ムッツリーニよ。

 未だ10人以上が並んでいて、問題のゴンドラもまだ少し先にあるというのに、どの客がどれだけの人数のグループになっているか、ゴンドラはあとどれだけなのかを瞬時に見分ける演算力。なんて無駄なのじゃろうか。もっと別のことに生かして欲しかったのじゃ………。

 というか雄二、お主もか。

『あ、一組来たみたいだよ』

『何?………おお、これは』

『………期待できる』

 観覧車の列に並んだグループはどうやら女性の3人組のようじゃった。うん、それがなかなかの美人というかなんというかでの、明久らのテンションがあがるのもわかるが、いや、わからないのじゃ。

『なんだかテンションあがってきたね!』

『ああ、そうだな』

『………でも、次が男でも問題はない』

 とムッツリーニが言うのと同時、次はワシらと同じように友人同士で来ている学生風の男子が並びおった。

『これで二組か』

『何してるの、雄二、行くよ!』

『は?何を言っているんだお前は。まだもう一組待たないといけないだろうが』

『………綺麗どころは外だけじゃない………!』

 お主らはそれでいいのか!?

 というかワシはこの場合どちらを応援すべきなのじゃろうか………。明久たちを応援するのも気が引けるのじゃが、姫路たちを応援すると、また学習合宿のときのようにワシも被害者にされてしまうのじゃ………いや、ある意味では被害者というのは正しい気がしないでもないのじゃが。

『よし、じゃあそうと決まれば』

「おい、皆!そろそろ乗りに行こうぜ!」

 大声で女性陣に呼びかける雄二。気持ちが逸っているのか微妙に早口で、しかし目はしっかりと観覧車の列を見ながら―――



『ああ、悪い、遅れちまった』

『おい気をつけろよ。ただでさえ人数が多いんだから』

『まあ二グループに分かれてもはぐれたという気はしないけどな』

『確かに、実際この観覧車のゴンドラ一台にこの人数は乗れないよな』

『ははははは』



「…………まあ、ゆっくり行こうか」

「……そうだな。観覧車がもう一周するまで待つか」

「………仕方ない」

 あと何分待たせる気なのじゃ。

 どうやらこのテンションのアップダウンには話に盛り上がっていた姫路たちでも流石におかしいと思ったようで、

「明久くん、何かたくらんでないですか?」

「え?べ、別にそんなことないよ!?」

「怪しいわね………」

「……雄二、隠し事は許さない」

「お、俺は隠し事なんて……っておかしいだろ!隠し事の一つや二つあって当然だろうが!」

「……口答えも許さない」

「それは人権侵害だってぎゃああああああああああ!!!!」

「ねえねえムッツリーニ、くんっ!(チラっ」

「………まだ未遂………!(ぶしゃああああああ」

 各所で見られる尋問と刑の執行………あれ?何か遊園地に来ても普段と変わらないような気がするのじゃが?

 しかし、各々痛みやら、大量出血やらで固い地面や、自らの血の海に沈んでいく友人たちを見ていると、ご愁傷様というかなんというか――――――



『なあなあ、俺ら実はフリーフォール乗りたいんだけどよ』

『え~?じゃあ俺ら観覧車乗ってる間何度でも乗ってこいよ』

『いや、何度でもは流石に遠慮するけど………じゃあ行ってくるか』

 なにやらそのような会話が聞こえてきて、数人いた学生らしき男らの集団のうち半分が列から離れた。そしてその後
には。



『あ、ここの観覧車ってすごいんだってね!』

『うんうん、雑誌とかでもここから見える夕焼けとか夜景とかは綺麗だって書いてあったよ!』

『へ~、じゃあ乗ってみよっか』

『うんっ』



「皆、いつまで寝てるのさ!行くよ!」

 ―――あのままくたばればよかったのにのぅ。

 私刑の手をかいくぐり観覧車の列へと全力疾走する明久たち。

 死体だったものの突然のすばやい動きに一瞬虚を突かれた女性陣を置いて、すばやく観覧車の乗り場へとたどり着く。

 そして、前の女性客二人組みが透明のゴンドラに乗ったのを確認すると、すぐ後に到着した後ろのゴンドラへ滑り込んだ。

 どうやらすぐに追いかけてきていたらしい姫路たちはワシらの後ろに乗り込んだようじゃった。さっきまでの華やかな笑顔から一転、裏のありそうな恐ろしい笑顔が印象的じゃ。

 まあ、あまり褒められた行為ではないかもしれんが。

 明久が、ワシのことも皆と一緒に引っ張ってきてくれたから、まあ良しとするのじゃ。

 なんであれ、一人だけのけ者は悲しいしの。






   ★★★






「畜生!ここのスタッフは裏切りものだ!」

「………卑怯」

「まあ、普通はこうなるよな」

「ワシはむしろお主らのテンションがわからないのじゃが………」

 中に入ってわかったのじゃが、ゴンドラの上半分、それもちょうど隣のゴンドラの視線だけをさえぎるように擦りガラスが入っているようじゃった。それでいて不快に感じさせないデザイン性、そして高くまで上ったときに、そこからの景色を見せられるようにと上方の視界を全て塞ぐわけでなく余裕を残す設計………すばらしいのう。

「畜生!あの人たちもあの人たちだ!絶対わかっててやってるな!」

「………卑劣」

「まあ、普通はそうするよな」

「ワシはむしろお主らの理想がわからないのじゃが………」

 まあ予想通りというかなんというか、ワシらの前に乗った女性二人組の客はワシらには背を向けて二人並んで座っておった。

 服装はミニスカートと呼んでも差し支えないような格好ではあるが、ワシらからそれが見えることはほとんどない。擦りガラスのせいでもあり、姿勢のせいでもある。これが俗に言う鉄壁スカートというやつかのう。違うか。

「期待させておいて結局おあずけだなんてひどすぎる!」

「………民事訴訟もの」

「お主らが試みようとした覗き行為は刑事訴訟ものじゃぞ」

 経歴に傷がついてしまうぞい。

「そうだな。馬鹿は履歴書に載らないが前科は履歴書にはっきりと載るからな」

「なんて失礼な比喩なんだ!」

「そう怒るな明久。わかった、認めよう。お前は履歴書に明記されるほどの馬鹿だ」

 睨んで憤る明久に手のひらを出して、まあまあとなだめながら言う雄二。

 それに納得したのか明久はふっと落ち着くと座席に座りなおした。

「まあわかればそれで―――よくないよ!何さ、履歴書に載るほどの馬鹿って!?」

 そこまで気づくのが遅れれば相当だと思うのじゃがのう。

 いつものようにがやがやと騒ぎ合う明久と雄二を尻目に、ムッツリーニはただひたすらに虚空を睨んでカメラを構えていた。

「………一応聞くのじゃが、ムッツリーニよ。お主は一体何をしているのじゃ?」

「………ゴンドラが揺れたらその時に見えるかもしれない」

「そこまで派手にゴンドラが揺れたら流石のワシも怖いのじゃが」





☆☆☆






「もうそろそろ頂上じゃな」

 ゆっくりと上っていたゴンドラはとうとう、この大きな観覧車の頂上へと届こうとしていた。

「流石に目玉にしてるだけあって景色がいいな」

「そうだよね。観覧車って普通に景色いいものだけど、ちょっとなんか違うよね」

「………格別」

 ゴンドラの中から見える景色は、確かに今まで観た景色の中でも群を抜いて素晴らしいものじゃった。夕焼けが沈もうとしている赤色はキラキラと輝いて見えるのじゃ。多分、立地がいいのがあるのかもしれんの。ちょうど夕日が沈む方角には目立つアトラクションもない、かつ、反対側には大きなジェットコースターのレールが夕日の光でライトアップされるかのように聳え立っておる。

「………ところで明久」

「ん?どうしたの、ムッツリーニ?」

「………さりげなく秀吉の隣に居る」

「な、何言ってるのさムッツリーニ!4人いるんだから誰かがムッツリーニの隣にいくのは当然じゃないか!」

「ちょっと待つのじゃ!何でそんなに慌てているのじゃ明久!ムッツリーニもじゃぞ!ワシが誰の隣にいようと何も気にすることはないじゃr「秀吉、お前はあの女性客と同じくらい危機感を持って自己防衛をしたほうがいい」雄二まで何を言うのじゃ!?」

 言うにことかいてミニスカ女性客と同じ心構えとな!?

「うう……ごめんよ秀吉」

 狭いゴンドラの中で、椅子の端っこに移動してワシから距離をとる明久。

「それで距離をとられるとそのほうがよっぽどショックなのじゃが!?」

「いや、明久のためにも秀吉のためにも仕方ない」

「何がじゃ!?」

 さっきから『!?』マークばっかり使っておる気がするぞい!?

「………こんなのもある」

「なっ!ムッツリーニ………あの状況でいつの間にこんな写真を」

「………つい撮ってしまった」

「あの混沌とした状況の中、『つい』でカメラを構えることができるお主にはいっそ尊敬してしまうのじゃが」

 差し出された写真に写っていたのは、さっき観覧車まで突進したときの光景。明久がワシの手を握って走っている写真じゃな。

「あ、もしかして記念にくれるとか?いやあ、ムッツリーニもなかなか味なまねを―――」

「………この写真を須川たちに見られたくなければ」

「脅迫用だったのか、畜生!」

「ちょっと待つのじゃ!何故それが見られては困るのかワシに言うのじゃ!」

 須川にいないのは恋人であって友人ではないはずなのじゃが!?

「仕方ないね……その写真と僕の秘蔵の本とを交換しようか」

「………交渉成立」

「ちょっと待つのじゃ!何故それが等価交換できるのかワシに言うのじゃ!」

 ワシの写真と明久の本は次元が違うもののはずなのじゃが!? 

「落ち着け秀吉、ただの口止め料だから交換とは限らないぞ」

「いやいやいやいや、口止め料というのも納得できないんじゃが」

 友人の手を引いて走っているという写真のどこに秘密を保たねばならぬ理由があるというのか。

「あ、そうだ、そんなことよりさ」

「ワシにとってはそんなことではないような気がするのじゃが………」

「ちょうど写真の話をしてることだし、せっかくだからここで一枚記念写真撮らない?」

「別に俺は構わないが何でわざわざここで撮るんだ?写真なら散々撮ったじゃないか」

「いや、特に理由はないけど、景色が綺麗だから」

 そう言って目を細めて外を見る明久。

「あとさ、なんだかんだ言っても僕たち4人で撮った写真ってあんまりなくない?」

「ん……そう言われてみればそうだな。ムッツリーニのカメラは常に女性陣のスカートの中を狙ってるし、明久のカメラは姫路と島田で大半が埋め尽くされてるからな」

「………そんなもの狙ってはいない」

「僕は何故かそうなっちゃったんだよね。僕がカメラを向けると何故かあの二人がいたし」

 いや、別に嫌なわけじゃなくてむしろ歓迎なんだけどさ、と苦笑する明久。

 ふむ、なるほど。

「つまり、二人とも自然な流れでそうなってしまったというわけじゃな」

「………別に自然じゃない」

「じゃあ確かにちょうどいいかもしれないな」

「………自然じゃないんだ………!」

 ムッツリーニにツッコミを入れる者もそろそろいなくなってきたのう。

「うっし、じゃあゴンドラが頂点にあるうちに撮っちまうか」

「おお、もう頂上に着いたのじゃな。気づかなかったぞい」

 窓から見る景色は確かに頂点からのそれじゃった。ゆっくりとゆっくりと徐々に進み、下がっていこうとしているのがわかるのじゃ。

「ムッツリーニ、反射とか抑えられる?」

「………やってみる」

「流石の撮影技術じゃのぅ」

 ムッツリーニならばゴンドラの中からのこの景色を残すことも可能かもしれん。

「あ、でももちろんタイマーにしてね。4人で写らないと意味がないしさ」

「………難しい注文をする」

 そう言いながらも嬉しそうじゃぞ、ムッツリーニよ。

 一旦、自分でカメラを構え、角度や距離などを調節しつつボタンをカチカチと押して準備をしておる。

 そして、ちょうどいいところが見つかったのか、あと一つ二つ操作をすると。

「………あと10秒」

「よし、じゃあちょっと狭いけど皆寄って」

 景色が写るように、ゴンドラの中で横に並ぶ。ちょっと狭いが大丈夫そうじゃ。

 そしてカメラの赤い点滅の周期がどんどん短くなってきて―――

「はい、チーズ!」

 お決まりのセリフの後にシャッターが切られる軽快な音がゴンドラの中に響いたのじゃ。







   ★★★








 長かったような短かったような、そんな観覧車の中の時間ももうそろそろ終わろうとしておる。さっきまで敷地内全てを見渡せるほどの高さにおったような気がするのじゃが、もう他の建物の屋根より少し高いくらいの高さまで降りてきつつあるのじゃ。

「もう終わりなんだ……なんか不思議な感じだよね。さっきまですっごく高いところにいたけど、それだけ降りてきたって感じはしないもん」

「まあ、ゆっくり降りてきたからな。それに、話が弾めば時間は早く過ぎるものだ」

「………楽しかった」

「うん、やっぱりただの観覧車でも、友達と楽しく乗ると全然違うよね」

「そうじゃな。ワシも今まで乗った観覧車の中で一番楽しかったのじゃ」

 楽しかった楽しかったと思っておると、こうして終わりがくるのは少し寂しく感じるのう。

 どうやらそう思ったのはワシだけじゃなかったらしいのじゃ。窓から見える景色はどんどん低いところからのものになってきていて、あと2,3分もすればワシらはゴンドラから降りておるのじゃろう。

「ん~……なんかちょっとずつ終わっていくのが見えるって寂しいよね」

「ああ、上がるときはちょっとずつ上っていくとテンションも上がっていくが、下がるときはただただ名残惜しく感じるな」

「………もう一周したくなる」

 そんなことを言っておる間に、とうとうワシらの乗るゴンドラは一番下、最初の位置にまで戻ってきた。

 係員がゴンドラを開き、なんとなく後ろ髪を引かれるように思いつつもゴンドラから降りる。

「う~ん、なんかムッツリーニの言うもう一周っていうのもなんかわかるような気がするなぁ」

「そうだな。まあ、もう一周なんていうのも無粋かもしれないな。一回で終わっちまうから感動するんだよ、こういうのは」

「………確かに」

 ………そういえば、忘れてることがあったのう。ゴンドラから降りて初めて思い出したのじゃが。これが人間の防衛本能というものかのう。まあ、それに気づいておるのは―――

「まあ、そうだね。じゃあ、そろそろ帰る時間だし―――」

「いえいえ、明久君。メンバーを変えれば何回乗っても楽しいと思いますよ?」

「そうよ、アキ。ウチらを置いて走って行ったくらいなんだからよっぽど楽しかったんでしょ?」

 明久の肩にそっと……いや、グッと手が乗せられた。

 冷や汗をかきながら、がちがちに固まったかのような首をギシギシと後ろに向ける。

 そのときの明久の顔は、ワシは見ることが出来なかったのじゃが………多分、笑っておるんじゃないかのう、と思うのじゃ。

「…………えっと………すみま―――」

「明久君、何を謝っているのか私たちにはわかりませんよ?」

「そうね。だから、詳しく理由を聞いてあげるわ」

「…………………はい」

「……急に走り出した理由を教えて欲しい」

「ちょ、ちょっと待て!別に俺たちは何も見れなかった―――って違う!いや、別にやましい気持ちは…………!」

「……話は中で聞く」

「ちょっと待て、頼むから顔をつかむのはやめ……ってうぎゃああああああああ!!」

「ムッツリーニ君っ、君にも話を聞きたいなっ」

「………俺は何もやましいことはない」

「それは後でゆ~っくり体に聞くことにするよっ」

「………ま、待て。頼むから密室は…………!」

「聞っこえな~いな~」

「………ひ、卑怯な…………!」

 あちこちで再び聞こえてくる悲鳴。

 ………なんじゃ。観覧車に乗る前に戻っただけじゃないかの。

「よかったの、皆。もう一回乗ることになりそうじゃぞ?」

「「「…………………」」」

 虚ろな目でこちらに薄ら笑いを向けてくる三人は、それこそ写真に残しておく価値がありそうなほどのシンクロ具合だったのじゃ。



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