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天狗と天子の天つ空

2010年04月15日 23:10

さて、先日とあるイベントに行ってきたのでその記念(?)に東方のSSを書いてみました。
歴代最長かなぁ?最近東方にはまってるので、これからも書いていこうと!そんなジャンルです。

というわけでそのイベントでお会いした……というかお世話になった……じゃないか。なんていうんだろう。う~ん……スケブ描いていただいたサークルさん、かなぁ。
うん、まあともかくサークルさんをリンクに加えました。
とりあえず、リンクフリーと書かれていたりいなかったりするんですよね;;
事後確認。………最悪じゃないかorz
あれです。許可とれなかったら、もしくは「リンクはちょっと……」って言われたら即外すんでお願いしますm(_ _)m


さて今回のSSの内容は題名でわかっていただけるかなぁ、と。
東方Projectの比那名居天子と射命丸文の二人が主人公です。
この二人の組み合わせは珍しいかもですね~。
自分は見たことがない(ぁ

個人的に射命丸が一番好きなキャラなので、このキャラを是非主人公に!って思ってたんですよ。
で、天子に関しては、人によっていろんなキャラの受け取り方すると思うんですね。二次創作とか見てると全然キャラ正反対だったりするし。
そんないろいろあるキャラの受け取り方の中で、僕は天子はこんなキャラだと思うんです。
僕は幸せ至高主義なので、暗い話にならないようにならないように、って書いていった結果かもしれませんが。
僕の中で、天子は本当はすっごいいい娘だと思うし、すごいさびしがり屋でもあると思うんですね。
皆さんの中の天子というキャラが少しでも良いものになればいいなぁと思います。

今まで書いた中でも結構な自信作な今回!
あれ、そういうこと自分で言っちゃダメなんだっけ(ぁ
ご意見ご感想、お気軽にお寄せください。
コメントくれる人ありがとう!超うれしいです!
いつも通り小説は続きから。
ではでは、楽しんでいただければ幸いっ^^



【4月16日追記】
誤字修正しました。
「それなりのつや差を」→「それなりの強さ」
なんですか、妖怪の山は肌のきれいさで上下が決まっていたのですか、そんなことしたら射命丸はぶっちぎり一番です(何
タイプミスでした;;
キーボードの調子悪いんだよなぁ………

あと、時間経過の見られる部分にマークを入れました。


    天狗と天子の天つ空


      天人天子の天上天下



 それはとある異変の少し後の話。



 原因不明の地震―――後に首謀者が明らかになるわけだが―――によって神社が倒壊、また幻想郷の各地で、これまた原因不明の異常気象が起きていることから、各所の異常現象を異変と断定、博麗の巫女が解決に乗り出した。

 首謀者は天人、比那名居天子。比那名居の一族の娘。総領娘。

 異変の原因は、彼女の持つ能力、そして彼女の持つ道具。名を緋想の剣。

 巫女により退治された比那名居天子は、巫女の言いつけで神社を復旧、その後天界へと帰った。

 彼女が異変を起こした理由は、彼女曰く『暇つぶし』

 天界へと帰った後も、彼女は時々幻想郷へと降りてきているようだ。



「…………う~ん」

 射命丸は少し唸りながら手帳に書いた内容を読み直す。

 手帳の名は文花帖。記事の草案をまとめるための手帳。

 何度か反芻してみてもやっぱり気になる点は一つ。

「これじゃ、ただの日記というかお知らせというか………新聞じゃないわよね」

 そう、これじゃ新聞じゃない。確かに、新聞っていうのは事実を伝えるためのものだけど、事実を伝える『だけ』じ
ゃ意味がない。それは他の人がやっているし。

「う~ん……………」

 また唸る。今度はちょっと宙にも浮いてみる。特に意味はないけれど。

 そもそも、今回の新聞がただ事実を記すだけのものになってしまったのは取材がほとんど全くと言っていいほどできなかったからだ。異変が起きているなんてことには気づけなかった。………いくら自分の周りで―――そう、文字通り
周囲で起きていたこと。灯台下暗しとはこのことか―――起きていたこととはいえ、新聞記者としてあるまじき失態。
反省しないと。

 それはともかく。

「取材できることならしたかったけど、なんだかんだでタイミング逃しちゃったし、彼女が降りてくるのは完全な気まぐれだし、そう都合良く来るはずが――――――」

 とその時、ほんの少し地面が揺れた気がした。

 同時に音も聞こえた。出所は多分神社。

「…………………」

 なんとなく、手にしている文花帖を読み直してしまう射命丸。

 『原因不明の地震によって神社が倒壊』

「……………おお」

 なんという偶然、いやここまで来ると私が私の力で引き寄せた幸運と言っても差し支えないかも知れないわね。言うなれば『幸運を引き寄せる程度の能力』……なんて良い能力なのかしら。永遠亭のウサギ詐欺なんて目じゃないわ。

「……じゃなくて、と」

 考え事をしていたときのなんとなくぼうっとした表情から一転、強い笑みでその顔を彩ると、射命丸は自身の周りに風を纏う。そしてその一瞬後、神社へと一直線に飛んだ。

 風神少女の残像と、強く吹きぬけた風の気配をその地に残して。


 
   ☆☆☆


「―――別に意味なんてないわ、ただ単に下々の者たちと少しは関わっていてもいいかと思って」

「―――ま、あんたがどうしてもと言うなら、ちょっとは相手してやってもいいわ」

「―――はあ!?何でよ!この高貴な天人がここまで目線を下げてあげてるのに!」

「―――なっ……!わかったわよ!帰ればいいんでしょ帰れば!」

「―――……っとその前に。こんな神社壊れちゃえ……ってきゃああああああ!!」



 張り切って飛んでいった先では、地震も取材対象もなく、ただあるのは怒った巫女と爆発の跡だけだった。そして、
遠目から見えたのは捜し求めた天人の顔。しかし彼女は神社からどこかへと歩き去ってしまったのだが。

「………え~っと………文々。新聞です………けど……?」

「何よ、ちょっかいなら別の日にしてくれると嬉しいんだけど」

「いきなり不機嫌ですね。何があったんですか?」

「何がって言われても……いつも通りというか」

 博麗神社の巫女、博麗霊夢は、爆発の勢いで飛んだのであろう箒を拾いなおすと、境内の掃除をしながら口を開い
た。

「とにかく突然やってきて、なんか捲くし立ててたんだけど何が言いたいのか要領を得ないし……神社壊されてもたまんないからお引取り願ったのよ」

「ふむふむ」

 聞いた内容を文花帖にメモしておく。今の言葉とさっきの会話の断片から考えるに、

「で、去り際に神社を再び破壊されそうになった、と」

「まあ、なんとなくそんな予感がしたから先にふっとばしたけど」

 それがさっきの爆発というわけだ。

「流石霊夢さんですね~」

「はいはい。………で、何しに来たのよ?もしかして天人の取材?」

「ま、そんなとこです」

 流石に霊夢さんは勘がするどいですね~……って、この状況でそれ以外が思いつく方が稀ですかね。

「というわけで早速ですが私は後を追うことにします」

「ま、私に迷惑がかからない程度に頑張ってくれればいいわ」

「善処しま~す」

 少々不機嫌そうな霊夢が手でしっし、と追い払うような真似をするのを見て、ちょこっと苦笑しながら射命丸は飛び
上がった。

「ではまた新聞が出来たら届けに来ますね~」

 そうして、歩き去ってしまった天人を追いかけて森の中へと入っていった。



   ★★★



「…………とりあえず何が起きたのか聞いてもよろしいですか?」

「まあ見ての通りだと思うぜ」

 そう言って魔理沙さんが示す先には、大きくえぐられた地面。相も変わらずとんでもない破壊力ですね、ええ。

 とりあえず何が起きたのか想像してみましょう………といってもあまり考えるまでもない気がしますが、自ら事件像を想像してそれを取材によって完成させるというのが新聞記者として大切な心構えでありましょう。

 で、周りを見回してみると、やはりえぐられた地面が見える。……というかそれ以外に実害?というか争った跡はないように見えますね。と、いうことは………

「天子さんが現れた瞬間に有無を言わさず『マスタースパークっ!』ってとこですか?」

「私はそんなに攻撃的じゃないぜ」

「『見敵必殺撃つと動くぜ』は攻撃以外の何を示しているんですか」

「日常生活で大切にしたいことだな」

「あなたはどこのスパイですか」

 にはは、と笑う魔理沙さんに何を言えばいいのかすぐには思いつかなくなってしまいます。とりあえず私は間違っていることを言っているつもりはないのですが。

「で、真偽のほどはどうなんでしょうか?」

「え~………っとだな」

 そこで魔理沙さんはちょっと言いづらそうに視線を宙に逃がします。何でしょうか、一体全体何をしでかしたんでしょうか。きちんと加減を知っている人だと思っていましたが、ちょっと勢いあまって……なんて言い出さないですよね。

「実は………私ちょっとアイツのこと苦手というか………どうもアイツは私のことを暇つぶしにも考えてない節があるような気がしてな、ちょっと隠れてたら」

 言いながら、両手で何かを握るような仕草を見せました。そしてそれを一度上に振り上げたかと思うと、思いっきり地面に振り下ろすように手を―――ああ、わかりました、読めましたよ。

「………私の家をぶっ壊そうとしたもんで」

「慌てて出て行った、と」

 スパークっ、って感じですね。手を前に出して言ってみます。いや、特に意味はないですが。

「そしたら帰っていっちまったんだけど………一体なんの用事だったのか………お前は何か知ってるのか?」

 う~ん、結構無茶する人ですけど根は割りと繊細ですからね。やっぱりいきなり追い払ったことにちょっと負い目があるようです。いや、状況的に仕方ない気がしないでもないのですが。

「まあ、私はまだわかんないですね~。取材中ですし」

「そうか………じゃあ、取材が終わって気が向いたら来てくれないか?」

「そうですね………ま、期待はしないでくださいよ?」

 わかってるぜ、そう言ってもう一度歯を見せてニカッと笑う魔理沙さんはやっぱり優しい、なんて思いました。



   ☆☆☆



 射命丸が幻想郷をふわふわと浮くこと数十分。目を引く帽子飾りが殺風景な岩場に揺れているのが射命丸の目に飛び込んできた。

 ようやく見つけた、と緩めていたスピードをあげて、そこへと向けて飛んでいく射命丸。

 固い岩場に衝突しないように直前で急ブレーキ、突然巻き起こった突風と、同じく突然の登場をした射命丸に目を丸くする天子。

「な、何よいきなり!っていうか誰アンタ!」

「あやややや、幻想郷では私を知らない人はそういないですよ~。毎度おなじみ『文々。新聞』の清く正しい射命丸文です」

「知らないわよ。地上の卑しい妖怪のことなんて」

「む~、いきなりご挨拶ですね。でもしかしです!取材対象には敬意を示すのが記者としての心得です」

「………取材?」

「ええ、取材です。新聞記者ですから」

「………くっだらない」

 目だけであったが射命丸に向けていた視線を完全に離すと、またぼんやりと岩場から見える幻想郷の景色を見つめた。

「まあそう言わずに………聞くところによると、先日の異変は貴女が引き起こしたものだそうで」

「……そうよ?それが何?また退治でもしに来たの?」

「別に今更そんなことはしませんよ。じゃなくてですね、何度も言っているでしょ、取材です取材。何でそんなことをしたのか、その動機を伺いに来たのですよ」

「何でって?」

 天子は未だ射命丸に目を向けようとしない。ただ、声だけで返す。

「だから、わざわざ天界から幻想郷にちょっかいを出した理由ですよ」

 天子はふんっ、と鼻を鳴らした。

「暇だからよ、ただの暇つぶし。ここには異変解決人みたいなのがいるそうじゃない。ソイツが出張ってくるのを待ってたのよ」

「暇つぶし、ですか」

「そ、暇つぶし。何より天界には刺激がなくて。ちょっとした戯れに下界の者たちと遊んでやってもいいかな、と思ったのよ」

「ふ~ん………暇つぶし、ねえ」

 射命丸が呟くようにそう言うと、遠くを眺めていた天子が視線を戻して睨むように目を細めた。

「………何か?」

「別に、何もないですよ」

「…………ふんっ」

 再び、景色の静観を続行。

「ところで、異変の際に使ってたのはその剣だとか」

 天子の隣にある剣を指す。言われて剣に手を添えた天子は無視して、射命丸は続ける。

「別に調べようだなんて考えてませんよ。ただそれについての由来やら能力やらについてお聞きしたいだけで」

「天界の剣よ。その人の気質を表す、天人にしか使えない天界の剣」

「………それだけですか?」

「あなたに理解できるのはね」

「……………」

「……………」

 二人して黙り込む。話す気がなくて黙っているか、話す内容が見つからずに黙っているかの違いはあれど。

「…………そういえば、先ほどからのあなたの様子を見させていただきました」

「なっ!……………意地の悪い趣味ね」

 天子は一瞬、射命丸を振り仰いだが、すぐに顔を戻した。せめてもの、といった感じで言葉に思いっきり刺々しさを
混ぜる。

「それが記者です」

「……馬鹿みたい」

「いやいや、とっても愉快な顔をしていましたよ。あんなに高慢に仕掛けていったくせに、帰り際にはあんなに―――」

「………何が言いたいわけ?」

 目を細める。今度はもっと強烈な威嚇と怒りを織り交ぜて。

 ようやくしっかりと向き合った天子に、しかし射命丸は怯む様子も見せない。いつもどおりの飄々とした態度で続け
る。

「いえいえ、ただ思っただけです。暇つぶしだなんてとんでもない」

「……………」

 天子は黙って聞いている。顔こそ向けているものの未だ座ったままだ。ただその手は、緋想の剣をしっかりと掴んでいるが。

「暇つぶしだ、退屈だ、下々の者との格の違い?なんだかんだ理屈にもつかない言い訳を並べて、貴女はただ――――――」

 剣を握る手は、本人は痛みすら感じているであろう程強く握られていた。

「―――人並みに、寂しくて、人並みに―――友達が欲しかったんじゃないんですか?」

「……………ッ!」

 天子は、握った剣の切っ先を振り回し反転。その勢いのままに立ち上がりつつ一回転、目の前の天狗に斬りかかった。



「きッサまああああアアあああアァあぁああアアアァァあああああああああああああ!!!!!!」 



 幻想郷中に響くような爆発音、さらに暴風。それに次ぐ罵声と怒声。そして、とある岩場が破壊されつくされるほどの大きく局所的な地震が、幻想郷全域に少しだけ響いた。




   ★★★



「とりあえず、実力差はわかっていただけたのではないかと思うのですが」

「…………っ!」

 悔しそうにこちらを睨んではくるものの、やはり向かってくるだけの力は残っていないようです。

 地面に倒れている天子さんから視線を外すと、岩場の惨状がしっかりと目に飛び込んできます。……あやや、やりすぎましたかね。環境破壊ここに極まれり、です。それにしても森ではなくてよかったですね~。いえ、岩だからいいというわけではありませんが被害の広まり方的に考えて。

 まあ、景色の話なんて今はどうでもいいんです。それよりも、目の前の天人さんをどうにかしないといけませんからね。

「ここまで過敏に反応するとは思いませんでしたが……どうやら私の読みは正しかったようですね」

 まさか代償として幻想郷の大切な岩場が蹂躙されつくされるとは思いませんでしたが。……ちょっと天子さんの能力
を見誤っていましたね。

「やっぱり……いえいえ、答えなくてくださらなくても結構ですよ。先ほど、霊夢さんや魔理沙さんのところから帰るときの貴女の顔を見れば、わからないはずがありません」

 あんなに…………寂しそうな顔をされてしまっては、見てみぬ振りもできないでしょう。

 天子さんは黙って顔を伏せていますが、構わず続けます。

「まったく……あんな態度で向かっていったら追い返されるに決まってるじゃないですか」

 優しく諭すように、を心がけて言葉をつむぐ射命丸。とりあえず聞いてもらえないと話になりませんからね。

「そん、な…………ないもん」

「?なんでしょう?」

「そんなこと言われたって!」

 勢い良く顔を上げた天子さんの目には涙が溜められていました。そして、絞りだすような小さくはかない声から一転、

「そんなこと言われたってわかんないわよ!お父様が凄い人に仕えてたから、っていう理由で天人になってから、友達なんて………友達なんて、一人も出来たことないの!」

 大きく声を張り上げて叫んできました。

 ………ようやく、本音が聞けたような気がします。今までずっと尊大な態度でしたがその実、彼女の内面は本当に脆い。

「貴女は、天界でたくさんの人に囲まれているのではないのですか?この前の神社の修繕も、たくさん仲間を引き連れてやってきたと聞いています」

 天子さんは心持ち俯いて、また呟くような声になりました。射命丸は、その言葉を一言も聞き漏らさないように天子の言葉に耳を傾けた。

「あの人たちは、私が天人だから周りに居る、言わば部下みたいなものだから」

 ぽつぽつと語られた内容に、しかし射命丸は何を贅沢な、と目を丸くした。

「いいじゃないですか、部下がいるなんて羨ましいですよ。私なんてそれなりの強さを自負しておりますが、部下はほとんどいませんし」

 天子は弱弱しく首を横に振った。

「あんたが思ってる部下とは多分ちょっと違うわ。私を慕って従ってくれているわけでも、反対に私の力に畏敬の念を感じて従っているわけでもない。ただ、私の地位のおかげで周りにいるだけなの」

「でも、周りにはいてくれてるのでしょう」

 天子はさっきよりも強めに首を振った。

「皆、私といることに何も感じていない……というかむしろ嫌だと思ってるかもしれない。皆……私と一緒にいたいと
思ってくれてる人なんていないわ」

「それです」

「え?」

 突然断言する射命丸に天子はあっけにとられたようだった。

 あやや、ちょっと急でしたかね?

「つまりですね」

 指を上に立ててにっこりと笑っていいます。

「それが、貴女がすべきことなのです」

「……………どういう、こと?」

「貴女が思っていること、貴女がそうしてもらいたいと思っているそのことが答えなのです」

「……………?」

 う~ん……どうやらまだわかっていただけないようです。つまりですね………

「周りの人が貴女と一緒にいたい、そう思ってもらえるような貴女になればいい……ただそれだけのことなんですよ」

「あ………」

 うん、ようやくわかっていただけたようで何よりです。呆けた顔の天子に射命丸はもう一言おせっかいを重ねる。

「貴女は天人だから、と妙に気張っている節がありますが、そんなことはこの幻想郷では関係ありません。この幻想郷はありのままを受け入れ、全てが平等に存在を許されています」

「うん……」

「強さでは確かに平等ではないです。しかし、友人であるならば、妖精や妖怪、人間に差をつけることなどありません。それは天人も同じこと。上でも下でもありません」

「………うん」

「だからこそ貴女は、天人としてではなく、比那名居天子として、ありのままの姿で接していけばいいのですよ」

「………でも、私できない……」

「大丈夫です、さっきも自分で言ってたでしょう。周りのことを考えることができる。見たところ貴女はそこまで無神経というわけでもなさそうです。自分が正しいと思ったことをすれば大丈夫でしょう」

「………でも―――」

「それに、です」

 う~ん、この先のセリフはあまりにもベタすぎておおっぴらに言うと後で恥ずかしくなりそうなのですが……変に恥ずかしがりながら言っても逆に恥ずかしいですし……まあいいですっ、物事は勢いとタイミングなのです!

 射命丸は天子の前に屈んで目線を合わせると、片目をつぶって言った。

「貴女の幻想郷での友人第一号として、私が出来る限りサポートしますから」

「っ!そ、そん………~~~っ」

「どうかしましたか?」

 いや、我ながら意地悪だとは思いますが。ニヤニヤしてしまう顔は隠せないです。

 天子さんは真っ赤な顔で俯き、しばらくごにょごにょ言っていましたが、ついに、

「……あ、ありがと」

 と、呟くような声で言いました。

「どういたしまして~」

 私も、新しく出来た友人に笑顔で言葉を返すのです。




   ☆☆☆




「さて、まあ一番最初に向かうとすれば、貴女がそうした通り、霊夢さんか魔理沙さんですね」

「でも私、あの人たちにはもう嫌われてそう………」

「そんなこと気にするような繊細な神経の持ち主ではありませんよ」

 あれ?何か今日言ったことと矛盾したことを言った気が……う~ん、まあどうでもいいですね。

「確かに、前回の神社の倒壊で霊夢さんはちょっとおかんむりな感じですが、綺麗に直ったことだし、手土産でも持っていけば何とかなるでしょう。魔理沙さんも、あれでいて優しい人ですから、貴女が変わったことがわかれば、昔のことはすぐに水に流してくれるでしょう」

「…………そう、かな?」

「ええ、大丈夫です。私を信じてください!」

「大丈夫かなぁ………」

「む!私は記者ですよ。コミュニケーション能力は幻想郷の中で磨き抜かれているのです。それに、幻想郷最速の私がいれば、幻想郷中に友達を作ることだって朝飯前なのです!」

「あははっ、うん……そうね。さっきのは冗談」

「わかればよいのです。―――では、行きましょうか」

「うん」

 そう言うと二人は飛び上がった。

 時々目が合って、方や明るく、方や恥ずかしそうにはにかみながら飛んだ。

 飛ぶスピードは最速ではない。でも、二人並んで飛んでいる。それは決して遅くはない。足を引っ張るのではなく、手を引くように飛ぶ。

 そして、飛び上がるのも、まだ遅くはない。

 幻想郷の空は明るく晴れていて、涼しく気持ちの良い風が、幻想郷中に吹き抜けていた。
 


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コメント

  1. いち | URL | 0MXaS1o.

    Re:

    こんちはっ!
    わざわざコメントをしていただいてありがとうございます!誘われたのでホイホイとry
    リンクはどうぞどうぞです ぼくのとこにリンクを作る予定は無いので片道になっちゃいますけど;;;

    モノ書きさんロックオン!挿絵などありましたらぜひ(死
    スイマセン修行してきます

    ではでは~

  2. 伽藍快 | URL | -

    名華祭お疲れ様です

    こんにちは、ENJOY MIXの伽藍快です。
    こちらからもリンク貼りましたのでご確認お願いします。
    同人デビュー頑張ってください^^

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